いまさら聞けない、パズドラの成功要素

Aug 22, 2014     小泉 耕二   0 Comment     おすすめ, コンサルティング

ネット業界の新御三家といわれる、ガンホー、mixi、コロプラ

iモードのサービスが始まって日本のインターネット化は急速に進んだ。

その後10年かけて、プラットフォームがGREEやmobageといわれるソーシャルサービスに移行していく中で、コミュニケーションプラットフォーム上で展開される「ソーシャルゲーム」なるものが展開されてきた。

その後、スマートフォンが普及しだし、ネイティブアプリと呼ばれる、スマートフォン上で動くゲームが流行しだすなかで、対応の遅れからか新しいプレーヤーが一夜にして生まれた。

ガンホーはネットゲームの老舗、mixiはソーシャルネットワーク、コロプラは比較的新しいがもとはKLabといわれるガラケーサービスをメインでやっていた会社のメンバーだ。

彼らが作るゲームのうち、大ヒットしている「パズドラ」「モンスト」「黒猫のウィズ」はどれも、カードゲームと呼ばれるゲームがベースとなっている。

どのゲームも多くのキャラクターが存在し、キャラクターは育成することができたり、進化させることができ、これでどんどん強いキャラクターを作ることができる。

また、ゲームは「パーティー」と呼ばれるキャラクターのグループで敵を倒していくことになる。

そして、友達や見知らぬ人のキャラクターに助けてもらったりしながら、勝ち進んでいく。

なにが、「そんなに熱狂させるのだろうか?」「従来あるビジネスに応用できるところはないだろうか?」という視点でこれらのゲームの成功要素を分析していきたい。

これを読むとネットゲームの成功要素を知り、自社のサービスへの利用余地を知ることができます。

1.高揚感

実際にやってみるとわかるのだが、実はこれらのゲームは結構複雑でとっかかりが難しい。

スマートフォンの小さな画面に所狭しとボタンが配置されているし、正直始めたばかりの時はなにが面白いのかさっぱりわからない。

初めのキャラクターを選んでスタートすると、チュートリアルという学習ステージがあって、それをクリアしながら基本的な遊び方を学んでいく。

パズドラの場合、魔法石という石を買うことでガンホーは儲けているのだが、その魔法石の使い方まで親切に教えてくれる。

基本的な熱狂要素はパチンコのリーチアクションと同じだ。

派手なアクションと偶然性、自力でどうにかできそうな感じ、などが巧みに組み込まれていて、派手なアクションを見ることで昂揚感が生まれる。

例えば5つのステージをクリアしないといけない場合、4つ目までクリアできているところで全滅してしまうとする。

そうすると、そこまでに得たアイテムや努力がすべて無駄になるから、例の魔法石を使ってコンティニューする。

あるステージは公開期限があったり、して「今やらなければ!」という気持ちをあおるのだ。

2.成長・進化・収集

多くのキャラクターがいるということは、「このキャラクターは強い」とか「このキャラクターがかわいい」とか、特定のキャラクターを手に入れたいという気持ちが発生する。

キャラクターには様々な特性があったり、進化してさらに強くなったり、かっこよくなったり、と、キャラクター自体に入れ込める要素がふんだんに織り込まれている。

インターネット上でも様々なユーザが、キャラクターについて評論していたりするので、ほしいキャラクターを検索すると様々な情報に出会うことができる。これがまた欲しくなる要素でもあるといえる。

ちなみにこの成長や進化、収集の要素は、その昔「ポケットモンスター」などに代表されるようなゲームにもある要素だが、多くの人の目にとまるようなチャーミングなキャラクター展開をすると、テレビアニメになったり、キャラクターグッズ展開ができたりして二次、三次的なビジネスにもつながっていくこととなる。

一時期「コンプガチャ」という言葉が問題になっているのを耳にしたこともあるかもしれないが、「ガチャ」というのは、先の魔法石をつかってキャラクターを収集する方法で、いわゆるガチャガチャをやっているのと同じ状態だ。「コンプガチャ」というのはそれをさらに発展させて、特定の複数のキャラクターを集めると、さらにレアなキャラが入手できるという仕組みのことだ。

ゲームを進める中で、多くのキャラクターを入手できるものの、ガチャやコンプガチャでしか入手できないキャラクターもあることでお金を大量につかってガチャをやるユーザが増えたことから問題視された。

3.ユーザの状況に応じたイベント実施

おそらく運営サイドはここに多くの労力を割いているのではないかと思われる。

ビッグデータの分析で、クラスター単位にイベントをぶつけていく手法が紹介された記事を最近見た方も多いのではないだろうか。

曜日別イベント

キャラクターを育成するうえで、キーとなるキャラクターやコインを入手できるタイミングを曜日単位で作っているのだ。

こうすることで、毎日利用するユーザが増えることを期待している。

多彩なキャラクターを育成させようとする仕組み

強いキャラクターをいくつか育てれば、どんどんクリアしていけるとすると、やがてやってくる「飽き」を防ぐことができない。

そこで、レアなキャラクターなしでないとパーティが組めないステージを作ったり、特定の属性(水や火)だけでしかパーティが組めないステージなどを作って、多様なキャラクターを育成しないといけないシチュエーションを作る。

これで、ゲームを進めていくうちに、そもそも参加できなくなるステージがでると新しいキャラクターを入手・育成しようと頑張るのだ。

レア・キャラクター入手イベント

それでも大抵のステージをクリアした人のために、ガチャでも入手できない、特定のステージをクリアしないと入手できないイベントを作る。

新しいイベントがあることをインターネット上で告知して、そのキャラクターがほしいためにゲームを進める。

究極進化・・・それはインフレの始まり

最近のパズドラ、モンストはどうなっているかというと、究極進化という進化のさらに進化をさせるということができたり、初めからパーティの攻撃力を3倍にできるキャラクターがいたりする。

もちろん、それに対する敵もとても強い。

初めに描いた通り、これらのゲームはパチンコと似た高揚感を主体としているので、どんどん派手にするしかなく、それはゲームシステムのインフレ化を生み出している。

おそらく今後数年以内にこれらのゲームは飽きられるのかもしれない。

パズドラ、モンスト、黒猫のウィズの違いと今後

パズドラは、おはじきのような球を揃えた数だけ攻撃ができるという仕組み、モンストはおはじきのようなモンスターをはじいて敵を倒すしくみ、ウィズはクイズに答えて敵を倒すという仕組みだ。

高揚感を生む箇所以外は似たり寄ったりで、仕掛けもほとんど変わらない。

パチンコで、キャラクターモノの後はアイドルモノになっているのとほぼ同じだ。

今後考えられるのは、どんなタイプの高揚感を人に与えるか?という点だろう。

インテリ系の高揚感、派手さ一本の高揚感(この手のはすごく多くあります)、偶然と必然をうまくバランスしたものが人気を呼びそうです。

そして、この手の成功論はすでに語りつくされていて、焼き直しのサービスが多く立ち上がっています。

開発費も高くつくのですが、さらに広告費を相当かけることでユーザを取り込むことができている。

成功要素を実ビジネスに取り入れる

どんなビジネスであれ、これらの成功要素を取り込むことができます。

人は高揚感を感じるサービスを欲する。

例えばリアル店舗であれば、売り子がたったり、ポップが踊ったり、しますが、なぜかネット上ではクーポンや値引きありきでワクワク感のないお店づくりをやっている企業を見かけます。

楽天の店舗が無駄に大きなカニの写真をのせて、大きな金赤の文字で価格を表示しているのは、高揚感を煽っているのです。

素敵なアパレルブランドで、素敵なモデルが着た写真が大きく表示され、さも写真集のような様相になるのも高揚感を高めたいのです。

入れ込めるキャラクター作り

キャラクター作りといってなにも、御社のサービスのキャラクターを作ってくださいと言っているのではありません。

商品であれ、サービスであれ、どうやってそのチャーミングさをアピールするか?ということが重要だという意味です。

わかりやすい例でいうと、MINIという車がありますが、その姿はすでに確立されたキャラクターで、MINIのお店に試乗にいくとミニカー(チョロQ)がプレゼントされます。

それが、机の上に飾ってあってもインテリアとして成立している。

好きな人は、いつかは乗りたい・・・とMINIのある生活をイメージする。

こういうキャラクター作りができるべきなのです。

生活者の状況を考えたアピール

年齢や性別で区別するデモグラフィック分類で生活者をセグメンテーションしていると、メッセージが届かない時代ですよね。

自社のサービスと生活者の間の垣根がなにであるか?何を取り除けばこちらにきていただけるか?を考えることが重要です。

ゲームのように、曜日別でサービスを展開して毎日来訪してきてもらうきっかけづくりをしたり、顧客のシチュエーションに応じた来訪イベントをやってみてはどうでしょうか?

確かに運営サイドには多大な労力が発生しますが、その恩恵はリピーター獲得に直接的に寄与します。

とかく、「顧客獲得」というわかりやすい指標に依存したマーケティングをやりがちですが、「顧客維持」「顧客喪失防止」を指標としてマーケティングをやっている企業が長期的にみて成功することは歴史的にも明らかです。

全方位に貪欲だなぁ・・・という感想

私は実際にこれらのゲームで遊んで、分析をしてみて案外真面目に・・・という感想を持ちました。

以前のゲームクリエーターはリリース後大ヒットしたら次のゲームを考えたがるところがありましたが、今やソーシャルゲームの会社の大半は金融企業出身。

つまり、ビジネスがわかる人たちが経営しているのです。

それで、新規ゲームの開発・展開コストを考えると、まだ刈り取れるゲームから限界まで刈り取ろうとする姿勢が現れています。

いろんな社会問題をはらんでいるゲームマーケットですが、経営という観点から見ると勉強になる点も多いですね。

そして、例に書いた通りだが、なにも新しいことをやっているわけではなく、語りつくされたマーケティング理論を真面目にやっているから成功しているといえる点も面白い。

まとめ
ゲームマーケットにおける成功要素は共通している
成功要素は既存ビジネスにも転用できる
「貪欲さ」が好調の秘訣となっている

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