店舗はバズPRをやってみよう

Oct 1, 2014     小泉 耕二   0 Comment     PR, おすすめ, コンサルティング

O2Oという言葉を頻繁に見るようになった

iモードが発表された1999年以降、一家に一台だったパソコンから、一人一台となった「ケータイ」が多いに注目を集めた

その後、赤外線やFeliCaといった技術をつかったサービスを提供できるようになり、おさいふケータイを使う人たちにとっては、リアルとバーチャルの連携感が便利でたまらないという。

かくいう私も、おさいふケータイ黎明期からこの業界に関わっていたのでリアル店舗でのケータイの利用というのはO2Oという言葉がでるずいぶん前からの一代関心事であった。

時代が代わり、「ケータイ」も「スマホ」になり、情報システムを開発する人材や、マーケティングに携わる人材の裾野も広がった。

そういう中で、新たなコミュニケーションのあり方を定義しようと躍起になる評論家が多いのもうなずける。

しかし、果たして「スマホ」は「店舗の売り上げ」の救世主となるのだろうか?

これを読むと、店舗での売り上げ向上に必要な「スマホの利用方針」がわかります。

「スマホ」への期待値1:コミュニケーション・ツール

スマホでこれまでのコミュニケーションを変えようという考え方の企業は非常に多い。

紙のDMから始まって、eメールを使ったメールマガジンや、会員向け個人メールの配信、最近ではスマートフォンアプリを開発しスマートフォン向けのアプリに情報を配信する企業や、LINEを使って消費者とつながり、情報を配信する企業も増えてきた。

紙のDMとインターネットツールの違いは、言わずもがなだが「コストが圧倒的に安くつく」ということだ。

紙で送ろうとも、ネットで送ろうとも、その実質的な開封率は変わらない。

変わっているように見えるという方の見解は、システム的に開封を確認しているからであって読んでいるかどうかまで判定していないことに起因する。

一方、そういう声に答えて、「数秒間は開封状態が続かないと見たと判定しない。」という仕組みを提供しているメールマーケティング企業もあるが、これもHTMLメールと呼ばれる、画像がついているようなタイプのメールでメールマガジンを配信した場合だけわかる。

スマートフォンのメールは、件名の左についているチェックボックスをどんどんチェックして消すこともできるので、「ケータイ」の頃より見てないけど開封したという人は減っていると思われるが、結局は興味があるタイトルをつけ、内容を濃くした上で着地点(来店や購買)に引っ張った数がどれだけなのか?というのが評価数値となることには代わりがない。

スマートフォンアプリの場合はどうだろう、開発費用をかけてミニゲームやクーポンアプリを作っも、ダウンロードしてもらわなければ意味がない。

ダウンロードするために開発費用とは別の販売促進費用をかける。

ダウンロードしてもらってからも大変で、アプリを使ったコミュニケーションをしようと思うと、「バッチ」といった仕組みなどをつかって通知をするか、Android端末ではウィジェットというしくみを使ってデスクトップ上で通知をすることができる。

しかし、これらの仕組みはユーザ側でオフにすることができるので、ダウンロード数と通知数が一致しない。

最後にLINEを使ったコミュニケーションだが、こちらも読まずに放置すればよいだけなので、使っている人が多いからといって読まれるとはいえない。

結局のところ、「どういうツールでコミュニケーションをとるか?」が主眼ではなく、紙のDMの時代と同じくメッセージそのものにどれだけの興味を引く内容を入れ込むか?に開封はかかってくる。

そういう意味では、スマートフォンアプリのバッチ機能などは、タイトルすら見せることができないのでよほどのファンでない限り、「あ、連絡がきてる!」とチェックするとは思えない。

つまり、コミュニケーションという観点で考えた場合、最低限はある程度のタイトル文字数を表示してくれるツールを利用する方がよいということになる。

もちろん、「面」で攻めた方がよいに決まっているので予算があるならいろんなツールを組み合わせるべきだろう。

スマホへの期待感2:会員証デバイス

もう一方でよく語られるのが、会員証としての位置づけだ。

アプリを会員証として、FeliCaで連動したり、二次元バーコードを表示したりすることで会員サービスを提供し、常に持ち歩いてもらおうというものだ。

こちらは、本当に頻繁にいく店舗サービスを受ける前提で、持っていると本当に便利だ。

一方、コンビニエンスストアなど、本当に頻繁にいくサービスでないと結局アプリの存在を忘れたり、更新情報がバッチで届くこと自体が面倒な気分となり、逆にブランド価値が落ちることがある。

コンビニエンスストアのような業種からすれば、大量にばらまく際に、わざわざアプリケーションを開発するより磁気カードを発行した方がよいこともある。

理由は簡単。どうせ頻繁に利用するから、スマホに入れておく必要がないのだ。

会員カードは、リアルなカードであってもよい。用は、利用ポイントがたまるなどのメリットが享受できればよい。

積極的に会員サービスを展開する、ローソンやファミリーマートはいずれも磁気カードでのサービス提供をしているので、一消費者としてはこのカードをどうしてもスマホにいれたいという気持ちにはならない。

※繰り返すが、スマホに入っていると企業サイドからの情報伝達性は圧倒的だし、消費者にとっても、常に持ち歩いているので忘れることがない。

ユーザ視点でみるスマートフォン

これまでは企業目線でスマートフォンの利用メリットを見てきた。

しかし、押し売り営業よろしく、迷惑顧みずメールを配信し、欲しくもないアプリをキャンペーン特典でさそって、ダウンロード数だけ稼いでも店舗の売り上げは伸びない。

一方、ユーザはスマートフォンをどう使っているのだろう?

確かに、いつも持ち歩いているし、なにかしら触っているシーンをよく見かける。

ここ一年間で、台湾、上海、バンコク、ロサンゼルス、ラスベガス、パリ、と様々な街で実際に利用実態を見てきたが、街角でのスマートフォンの利用状況は東京が断トツで多いといえる。

では、スマートフォンで何をしているか?というと、当たり前だけど「人によってさまざま」といえる。

そこで疑問がわいてくる。

企業人はどうして、いつもいつも手元で使っているスマートフォンに自分のアプリが使われるシーンをイメージできるのだろうか?

消費者は、「すきなこと」をしているのであって、「わくわくしながら企業からの更新情報を確認している」わけではないのだ。

むしろ、友達とLINEをしている最中に「○○からの最新情報が届きました!」「金曜日はセールです!」などと届くと、気分次第ではうっとうしいものにもなりうるのだ。

つまり、消費者は、自分が知りたいタイミングでちょうど良く情報が欲しいのであって、いつでもウエルカムではないのだ。

この気持ちを考えると、例えばアパレルの店舗を経営しているとして、競合店舗の情報や、自社の商品に関連する情報に関連した検索エンジン広告を出すという手がある。もちろん、自社のホームページが充実している前提だが。

消費者は、今まさに自社の商品に関連する情報を検索しているわけだから、とてもタイミングがよい。

ほかにも、キュレーションアプリというものがあるのをご存知だろうか?

インターネット上の様々な情報を、個人の嗜好にあわせて集めてくれるサービスだ。

今後は、キュレーションサービスの中に、グルメやアパレルのページができてきて、そこに選択的に情報がでてくるようなサービスが始まる可能性が高い(※)。

店舗はこれまで以上に、サービス性や商材を磨くことがよい口コミのサイクルを作り出し来店を促す鍵となるといえる。

※すでに外食やアパレルのキュレーションサービスはいくつも立ち上がっているが一般に普及しているとはいいがたい状況。食べログをキュレーションというのであればすでに広がっているという考え方もあると思う。

データ解析からOne to Oneへの期待

一方で、購買分析(データベースマーケティング)の結果から、より個別の顧客を意識したコミュニケーションをとろうという企業が増えてきている。

この手法は、メッセージが開封された後、どんなメッセージを展開するか?というところを重視していて、「その顧客がどういう情報だったら喜ぶか?」ということを大事にしている。

先に書いた通り、メッセージは件名で取捨選択されるので、ここにささるメッセージが書かれていれば本当の意味の開封率は向上するし、そのあとの購買や来店にも影響を及ぼす。

しかし、多くのECサイトのレコメンドに携わるデータアナリストによると、レコメンドメッセージはECサイト内での商品レコメンドにかなわないという。

やはり、消費者が買おうとしているときに、購買を喚起される商品が表示され、適切なレコメンド文や口コミが見れることが重要だということだ。

このことから、膨大な量のメッセージの中でいくら分析結果とはいえ来店誘引効果を極端に高めることはとても難しことなのだということがわかる。

スマホで売り上げを上げるのは簡単ではない。

ここまでみてくるとわかると思うが、スマホが一人一台持ったからと言って、ケータイ時代よりも視聴時間が伸びているからと言って、売り上げが上がるとはいいがたい。

限りのあるテレビチャンネルに、ゴールデンタイムなるものがあって、そこに高くはつくが、優れたクリエイティブのCMを流してれば国民の多くに情報が伝達された時代とは大きく違う。

  • 何かを調べるために検索エンジンに向かう人
  • 友達とのショートメッセージをLINEでひたすら送り続けている人
  • 話題のゲームに課金をしている人
  • ・・・

最近は、ネットの造詣が深い人をマーケティング担当にする企業が増えてきているので、こんなことを語ることすら陳腐だとも思うが、あえて語るのは理由がある。

コミュニケーションの質を変えよう

直接的なコミュニケーションだけでユーザの購買意欲を喚起したり、来店を誘引するにはかなり無理があるといえる。

この10年でマーケティングの必要性が浸透し、今日の値引きだけに執着する企業は減ってきたといえる。

ダイレクトなコミュニケーションによって、目的が達成されるという絵を描くのはとても美しいが、実際の購買活動はそんなに単純ではないことはみなさん周知のことだ。

逆にいうと、直接的な効果をのみ期待するやり方は、ここまで書いてきたように、手法が固定化され非常に危険だともいえる。

企業は、一定の販促予算とは別に、ふんわりしたコミュニケーションのための予算をとり、PR部門に実践させるべきだ。

消費者の誰もが興味を持つ話題から入り、自社商品やサービスの特徴がその中でどう生きているかを語り、印象に残す。

こういうPR活動であれば、スマートフォンを使ってできることはたくさんあるといえる。

バズPRを使って、facebookやtwitterに限らず、どんどん出てくるメディアと連携しよう

オウンドメディアマーケティングなんて言葉あるのをご存じだろうか?

企業が自分のホームページの中などで、様々な情報を発信するということだ。

それをソーシャルメディアやキュレーションメディア、ニュースサイト上に展開して、話題にしてもらうという手法だ。

言い方はともかく、やることが肝心だ。

どういう内容を発信したらいいかわからないといわれることが多いメディア発信だが、たとえば鮨屋でウニを食べるとき、最近は「どこどこ産のです」という言われ方をする店が増えた。

そうすると、

  • ウニはどこでとれるのか?
  • どこのウニがうまいのか?
  • 旬はあるのか?

というところから始まり、

うちのウニはちなみに、ここで、こうやってとってます。

という話にふり、最後は、

うちのウニはこういう変わった手法で料理されてます。

という風に締めくくるのだ。

私の経験では、こういうなんでもない記事の方が身近で、「大手メーカーが新商品を出しました!」などという記事よりもよっぽどバズPRには効くはずだ。

そして、それこそみんなが持っているスマホに、その記事が流れ、検索され、お店の評判が広がり、来店数が伸びる、さらには食べログに書かれ、次のサイクルが始まる・・・

という流れが生まれる。

まとめ
スマホが広がったからといってすごくチャンスがあるわけではない
ユーザの行動に沿ったコミュニケーションは案外むずかしい
一日中触っているスマートフォンに一石を投じたいなら、バズPRだ

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